GPIFが「将来の産業構造の見通しについて」レポートを発表

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とは、Government Pension Investment Fundの略で、日本政府が運営する年金基金です。

年金制度によって、国民が年金を受け取るための資金を貯める必要がありますが、その資金を運用するためにGPIFが設立されました。GPIFは、年金制度に加入している国民から集めたお金を、株式や債券などの投資先に投資して増やすことで、将来の年金支給に必要な資金を確保することを目的としています。

GPIFは運用している金額が非常に大きく、世界最大規模の年金基金の一つです。
2022年12月時点での運用資産額は189.9 兆円となっています。このお金は日本の年金制度に加入している国民から集められたもので、株式や債券、不動産などに投資して、運用益を生み出すことで将来の年金支給に備えています。
GPIFは、日本の年金制度を運営するためにお金を管理しています。つまり、私たちが老後に受け取る年金のお金を管理しているということです。
ということでGPIFがどのように資金を運用するかは、私たちにとって非常に重要です。
なぜなら、GPIFが運用する資金が、私たちの年金制度の中心的な資金源だからです。
資金を効果的に運用できれば、将来的に私たちの年金が安定的に支払われる可能性が高くなります。一方で、資金の運用がうまくいかなければ、将来的に年金の支払いに問題が生じる可能性があります。
つまり、GPIFの資金運用方針は、私たちの老後の生活に深く関わる重要な問題であると言えます。

GPIFの主な投資先は、国内の株式や債券、海外の株式や債券、不動産などがあります。具体的には、日本の大手企業や海外の有名企業の株式、日本や海外の政府が発行する国債、不動産投資信託(REIT)などに投資しています。GPIFは、安定した投資利回りを追求するために、投資先を幅広く分散し、慎重に運用しています。
また、運用先の企業や投資先の国について、環境や社会的な責任を考慮した運用を行うことが求められています。

そんなGPIFが2023 年4月 28 日に「将来の産業構造の見通しについて」というレポートを発表しました。

「将来の産業構造の見通しについて」:GPIFサイト

このレポートでGPIFは将来の投資先を考えるうえでの重要なテーマとして、「人口動態・ライフスタイルの変化」、「気候変動・脱炭素への流れ」、「技術革新」の3つのメガトレンド(長期的・世界的な流れ、傾向)を軸に、将来の産業構造や社会の展望をまとめています。

日本の人口は減少し、高齢者の割合は増加することが予想されています。また、世界の人口は増加し、アフリカやインドでは人口が増える一方で、欧州や中国では減少することが予想されています。
気候変動・脱炭素の流れでは、グリーン・トランスフォーメーションやカーボン・ニュートラルを目指すことが求められています。技術革新については、カーボン・リサイクルや量子計算、ドローンなど、様々な分野で進歩が期待されていることに加え、グリーン・トランスフォーメーション(GX)やデジタル・トランスフォーメーション(DX)といった分野での技術革新が特に期待されている。とまとめています。

「人口動態・ライフスタイルの変化」

世界の人口は今後も増加し、日本は先んじて少子高齢化社会に入ります。生産年齢人口の増加率が低下し、潤沢な労働力の供給が必要ですが、それが期待できなくなっています。Z世代とα世代は、デジタル機器を一般的に活用しており、サービスに興味を持ち、所有に拘らずシェアリングに積極的です。2050年頃までに、デジタル技術が浸透する可能性が高いと考えられます。

「気候変動・脱炭素への流れ」

気候変動が異常気象を引き起こす問題であり、日本は2050年までにカーボン・ニュートラルを目指しています。
再生可能エネルギーを使い、化石燃料から脱却しようという動きがある。気候変動問題は、技術革新を促す機会でもあるため、多くの学術的な研究や新技術の開発が進んでいます。
カーボン・ニュートラルの達成のため、太陽光発電、洋上風力発電、二酸化炭素回収・貯蔵など、多くの取り組みが行われています。
また大気中の二酸化炭素の回収も課題で、化学吸収法や物理吸着法、膜分離法などの技術開発が進められています。

「技術革新」

技術革新が産業構造に与える影響については、グリーン・トランスフォーメーション(GX)とデジタル・トランスフォーメーション(DX)の二つの大きな方向性に注目されることが述べられています。
また、GXとDXの実現に向けて、カーボン・リサイクルと量子計算などの先端技術が紹介されています。カーボン・リサイクルはCO2を回収して再利用し、地球規模の課題であるカーボン・ニュートラルを達成することができるとされています。量子計算は従来のバイナリビットでは表現できない多くの情報を格納することができ、金融分野などで活躍が期待されています。

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